レバレッジ効果

レバレッジ(leverage)を直訳すると「てこの作用」となります。英語表現では「小さな力で大きな影響力を発揮すること」の比喩としてレバレッジという語がしばしば用いられます。

ここから転じて、金融用語におけるレバレッジ効果とは、「他人資本を活用することにより、少額の自己資本投資で大きなリターンが期待できる効果」を意味します。


レバレッジ効果は、たとえば、事業においては借入金によって事業拡大を図る場合や、信用取引・商品先物取引・FX(外国為替証拠金取引)・CFD(差金決済契約)などの投資で、一定の証拠金に対して数倍~数十倍の取引を行う場合に発生します。この際、証拠金と取引額との比率によって「○倍のレバレッジを効かせる」という言い方をする場合があります。


これらに対し、不動産投資におけるレバレッジ効果とは、購入する収益物件(不動産) を担保に借入を行い、それを物件購入費用に充てることで、少ない自己資金 に対して大きな投資効果を狙うことを指します。


レバレッジを効かせることのメリットとしては、

・少額の自己資金で規模の大きな投資ができる

・投資における自己資本比率を引き下げることで、自己資本の収益率をあげる効果が得られる

などが挙げられます。一般に、投資利回り以上の利益を生み出したいと考える場合にレバレッジを効かせるケースが多いでしょう。


たとえば、1000万円の自己資金を持つ人が、投資利回りが10%の収益物件を購入するとします。

Aのケースでは自己資金のみ、Bのケースでは収益物件を担保に1000万円の借入を行い、2倍のレバレッジを効かせたとします。


Aの場合、収益物件から1年間に得られる収益は


1000万円×10%=100万円


となり、自己資金に対する利回り(企業における自己資本利益率=ROEに該当)は10%となります。


これに対し、Bの場合は、


2000万円×10%=200万円


となります。


ただし、借入金に対しては支払金利が発生します。

仮に年利4%の金利を支払い、それを年間収益から差し引くと、

200万円-(1000万円×4%)=160万円となります。

この場合、自己資金に対する利回りは16%となり、レバレッジを効かせないAのケースよりも、自己資金を有効に活用できたと考えることができます。これがプラスのレバレッジ効果です。


なお、利回りの低下や金利の上昇などによって、利回りが支払金利を下回った場合にはレバレッジ効果がマイナスに働く場合もあります。

不動産投資においては、物件の収益性、将来的な金利の動向、自己のキャッシュフロー 状況などを総合的に考え、レバレッジを効かせるか効かせないか、そして効かせるのであればどれくらい効かせるかを判断する必要があるでしょう。