固定資産税

固定資産税とは、土地や家屋、償却資産などの固定資産に対して、固定資産が所在する市町村が課税する地方税です。ただし東京都23区においては、特例として都が課税することになっています。ここでは、不動産投資家にも関係の深い土地と家屋に話を絞って説明していきましょう。


固定資産税は、毎年1月1日時点でのその土地・家屋の所有者が納税義務者となります。都や市町村が固定資産税の納税額を納税義務者に通知し、納税義務者はその通知に基づいて固定資産税を納付します(これを賦課[ふか]課税制度といいます)。
なお固定資産税は、一般的に以下の計算式で求められます。


固定資産税評価額(課税標準額)×1.4%


固定資産税評価額とは、総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づき、都知事・市町村長が決定した独自の評価額のことです。この評価額は3年に1回見直しされ(評価替え)、その年度の翌年と翌々年は据え置きとなります。
通常、固定資産税評価額は地価の動きと連動しており、地価が上がれば評価額も上がり、逆に地価が下がれば評価額も下がります。おおむね地価公示の7割を目途として設定されることが多いようです。


ただし、なかには地価が下がっても固定資産税評価額が変わらない土地もあります。これは本来納める税額に達していない場合に適用される措置で、税負担の均等化を図るために、税額が据え置き(または上昇)になるというものです。また都・市町村の財政状況に応じて、特に必要があると認められる場合は、1.7%を超えない範囲内で異なる税率が課せられることもあります。いずれも必要な水準に達した場合は、地価の下落にともなって税率も下がることがあるのでご安心ください。


住宅用地の特例措置について

固定資産税の税率は一律1.4%と定められていますが、住宅用地(住宅やアパートなどの敷地として利用されている土地)の場合は税負担を軽減する目的から「課税標準の特例措置」が適用されるケースがあります。


例えば小規模住宅用地(住宅の敷地で住宅1戸につき200平方メートル以下の部分)では価格×1/6に軽減され、また一般住宅用地(住宅の敷地で住宅1戸につき200平方メートルを超え、家屋の床面積の10倍までの部分)については価格の1/3に軽減されることになっています。 ただし、専用住宅(専ら人の居住の用に供する家屋)は敷地のすべてが住宅用地となりますが、併用住宅(一部が店舗などに利用されている家屋)の場合は、居住部分の割合によって居住用地の率が変動するので注意してください。


新築住宅の減額

固定資産税では特例として、優良な住宅の普及を促進させるため、新築された物件に対する減額措置が設けられています。新築住宅の場合、定められた床面積要件を満たす場合において、新たに課税される年度から一定期間、当該住宅に係る固定資産税額の2分の1が減額されます。減額となる対象は居住部分が120平方メートルまでの家屋で、それを超える場合は120平方メートルに相当する部分が対象となります。 ただし、新築物件であっても建物の種類によって減額される期間は異なります。例えば平成30年3月31日までに新築された物件で、認定長期優良住宅に認定されているものについては、新たに固定資産税が課税される年度から5年度分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は7年度分)減額されます。これ以外の建物については、新たに固定資産税が課税される年度から3年度分(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年度分)です。


公共の用に供する道路に対する固定資産税の非課税

所有している土地に「公共の用に供する道路」が存在する場合、地方税法第348条第2項第5号及び第702条の2第2項の規定によって、固定資産税と都市計画税 が非課税になります。
公共の用に供する道路とは、一般人の通行に制約を設けずに開放されている状態で、かつ不特定多数が利用できる道路のことです。おもに以下のような要件をすべて満たす必要があります。


(1)有料で貸し付けたり、利用料の徴収を行ったりしていないこと
(2)時間帯によって通行の禁止または制限を行っていないこと
(3)通行禁止を示す看板等を設けていないこと
(4)門扉や柵など、交通上の障害物がないこと
(5)特定の人が優先的に車両置き場や荷さばき場などの用途で使用していないこと
(6)袋小路またはこれに類するものでないこと(ただし、複数の家の世帯が利用しており、なおかつ不特定多数が利用できる場合は除く)
(7)道路の全体にわたり1メートル80センチメートル程度以上の幅員であること
(8)不特定多数が必要とする道路で、現実に利用されているものであること


同制度の適用を受けるためには、その土地の所有者が申告書を提出する必要があります。もしも所有している土地に道路部分があり、専ら通行のために供されている場合は、申告をすることで大幅に減税できる可能性があります。


まとめ

固定資産税は、不動産の評価額に応じて負担が増大する税です。マンションを一棟買いする場合、一戸建てと比べて金額も大きくなるので、減額措置が受けられるかどうかは非常に重要なポイントとなります。まずはどのような軽減措置があるのかを事前に確認しておくことが大切です。


なお固定資産税は賦課課税制度であることから、課せられた税額が正しいのか、そもそも固定資産評価額が正しいのかといったことを納税者がチェックできるよう、固定資産台帳に縦覧期間が設けられています。仮に誤りがあったとしても、自分から申し出ない限り、課せられたままの税額を納税しなくてはなりません。積極的に固定資産台帳などをチェックし、不服な点があれば申し出を行うなどして固定資産の過払いを防ぎましょう。
すでに納税済みの固定資産税でも、5年前まで遡って還付を請求することが可能です。