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GLOSSARY
不動産用語集
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宅地建物取引業法(宅建業法)

pixta_23095798_M「宅地建物取引業法」とは、宅地及び建物の取引きを公正に行うとともに、購入者の利益や流通の円滑化を図ることを目的とした法律です。略して「宅建業法」とも呼ばれています。
不動産の取引きで以下の行為を行う場合は、この法律のもとで認定された「宅地建物取引士」の資格が必要となります。

  • ・宅地もしくは建物の売買・交換を業として行う場合
  • ・宅地もしくは建物の売買・交換・貸借を、業として代理または媒介する場合

2番目に挙げた「業として」の部分は、社会通念上、事業として見られる状態を指しています。事業か否かについては、国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」の第2条第2号関係で挙げられている判断基準に照らし合わせて、総合的な判断が下されます。例えば、以下のようなケースにあてはまるときは、事業性が高いと考えられます。


「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」第2条第2号関係(国土交通省)
(1)取引きの対象者:一般を対象にして広く取引きを行っているかどうか
(2)取引きの目的:利益を目的としているかどうか
(3)取引対象物件の取得経緯:転売するために取得した物件の取引きかどうか
(4)取引態様 :みずから購入者を募って、一般消費者に直接販売するかどうか
(5)取引きの反復継続性:反復継続的に取引きを行おうとするかどうか


不動産投資家の中にはマンションを転売することで利益を得ている人も少なくありませんが、この場合は判断基準の(3)に該当するため、宅地建物取引士の資格が必要です。仮に無資格で転売を行ったことが判明した場合、逮捕される可能性があります。


ちなみに、2016年10月に行われた宅地建物取引士資格試験の合格率は15.4%でした。法律・ビジネス系資格の中では合格率が高いほうですが、確率を見ればわかるように簡単に取得できる資格ではありません。ただし、資格を取得することで「不動産仲介料を節約できる」「不動産物件情報交換サイトREINS(レインズ)を見られる」などのメリットがあり、不動産投資家が資格を取得する価値は十分にあるといえます。また、自己物件を貸借する場合、宅地建物取引士の資格は不要ですが、これから転売による収入をメインに考えている方は、合法的に取引きをするためにも資格の取得を行ってください。

2016年、改正された宅地建物取引業法の目玉はインスペクション

2016年6月3日に「宅地建物取引業法の一部を改正する法律」が公布され、2年以内に施行されることになっています。
今回の改正の一番の目玉は、「インスペクション(建物状況調査)」の活用推進です。インスペクションとは、建物の基礎や外壁などの、ひび割れや欠損といった重大な欠陥の有無を点検し、雨漏りなど生活上の不具合が生じうる事象について、目視、計測等により調査することです。なお、インスペクションは次の3種類に大別できます。


・既存住宅に関わる一次的なインスペクション
目視を中心とする現況調査を行い、基礎や外壁のひび割れなど構造上の安全性、あるいは日常生活を送る上で支障が生じる可能性などを把握します。


・既存住宅に関わる二次的なインスペクション
破壊調査を含めた詳細な現況調査を行います。劣化部位を特定して不具合を総合的に診断します。住宅の耐震診断も、このカテゴリに含まれます。


・性能向上インスペクション
省エネ、バリアフリーリフォームなど、住まいによりよく暮らす目的のため、事前に現況調査や検査などを行います。


このうち、改正された宅地建物取引業法によって、不動産の売買契約や取引媒介契約などの際に「宅建業者の説明義務」が課されたのは「既存住宅に関わる一時的なインスペクション」についてです。中古建物(既存建物)の売買などを仲介する宅地建物取引士が、当事者からの求めに応じて、インスペクション業者に調査を依頼するよう定めています。


今までインスペクション自体を知らなかった人々にも、宅建業者が事前に説明することでインスペクションの活用を促します。建物取引の安心感を醸成し、諸外国と比較すると低水準にある日本の「中古物件市場を活性化」させる狙いです。


インスペクションが行われた場合、売買取引の対象となる建物の重要事項を説明する際、その建物の現状を宅建業者が買い主に報告します。また、売買契約の締結時には、実際に売り主と買い主が建物の現状を確認した上で、インスペクションの結果が記載された書面を交付することになっています。


インスペクションが普及することにより、中古物件の買い主は安心できますが、売り主は物件の隠れた欠陥の責任(瑕疵担保責任 )を負担する可能性が高まります。そのために用意された保険が、売買される中古物件に欠陥があったときに補修費用を補償する「既存住宅売買瑕疵保険」です。いざという場面に備えたい中古物件所有者からの需要の高まりによって、さらに普及していくことが予想されています。

物件取引の信頼性向上と買い主の保護を強化

改正された宅地建物取引業法には、インスペクション以外にもいくつかの重要なポイントがあります。そのひとつが、「宅建業者団体が、宅建業従事者に対する研修を充実させる努力義務」です。研修を充実することにより、宅地建物取引士の専門性が高まり、物件取引の信頼性が増すと期待されています。
また、「弁済業務保証金制度などによる還付請求権者から宅建業者が除外」されました。弁済業務保証金(営業保証金)とは、買い主が損害を被る場合に備えてプールされているものですが、宅建業者と買い主の双方が損害賠償請求権を持つとき、賠償額が弁済業務保証金から充填される場面と限定されました。プロの宅建業者より、アマチュアの買い主を優先して保護する方針としたのです。

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