「事業専従者控除」とは、個人事業主が確定申告において得られる特典のひとつです。「青色申告」の形式で行った場合と、青色申告よりも簡略化された「白色申告」の形式で行った場合とで、控除の幅に差があります。
控除とは、税務署に申告する所得額について、減額する扱いをすることができるものです。申告する所得額を減らすほど、課される所得税の金額は下がり、税率そのものまで引き下がることがあります。つまり、控除額が大きいほど、節税のメリットを享受できるのです。
青色申告の形式で確定申告を行った事業者は、その事業にもっぱら従事する、その青色申告者と生活をしている親族が給与を得た場合、その給与額(青色事業専従者給与)は必要経費として所得から控除することができます。
ただし、同じ屋根の下で暮らす家族に支払う給与ですから、実態としては「同じ財布」の中で、任意の金額だけが帳簿上移動しているにすぎない「お手盛り」と呼ばれる不正が行われるかもしれません。家族間で示し合わせ、不当に高い額の給与を支払ったことにして、不正な節税を狙うケースもありえます。
その抜け穴を防ぐため、事業専従者給与の額は、従事した期間はもちろん、実際に働いた時間や内容に見合った対価として相当と認められる範囲内に収めなければいけません。適切な範囲を超える額の給与を支払ったとしても、超過部分は控除対象とはならないのです。
なお、青色事業専従者は、以下の要件をすべて満たす場合が該当します。
<青色事業専従者の要件>
青色申告の簡略版である白色申告によって確定申告を行う事業主が、親族に支払った給与についても、必要経費としてみずからの申告所得から控除することができます。
こちらは「専従者控除」と呼ばれるもので、性質は専従者給与とほぼ同じですが、一定の制約が設けられているのが特徴で、節税を享受できるメリットはやや薄れます。具体的には、「その親族が配偶者か、その他の親族かの別によって定める金額」または「個人事業主の所得金額に応じて計算された金額」のうち、いずれか低いほうが必要経費とみなされます。