K%とは、ローン残高に対する年間返済額の割合を示す指標です。
これを見ると、借入金額に対する年間返済額が分かるので、資金調達コストの試算ができます。
K%は「ローン年間返済額÷ローン残高×100」で算出します。
例えば、ローン年間返済額が100万円で、ローン残高が2000万円の場合のK%は5%になります。
K%は金利が上がると高くなり、下がると低くなります。
また元本の返済額も絡んでくるので、長期ローンの場合は年間返済額を少なくできるので、K%は低くなります。
ローンはともすれば金利が高いか安いかで判断されがちですが、返済は借入金の利息だけはなく、元本も返していくことなのでキャッシュフローに大きな影響を及ぼします。
元本を含む年間総返済額が、ローン残高に対してどれだけの割合になるかを試算すれば、金利だけでなく返済期間も含めた融資条件を総合的に比較できます。
つまり、調達コストを数値化すれば借入金のレバレッジが健全か非健全かを判断できるわけです。
実質的な投資収益であるNOI(償却前営業利益)率が資金調達コストのK%を上回っていれば、レバレッジが健全であり、逆にK%がNOI率を上回って場合はレバレッジが非健全であり、その物件は投資非適格ということになります。
不動産投資においては通常、健全なレバレッジは「順レバ」、非健全なレバレッジは「逆レバ」と呼ばれています。
銀行も物件のK%を融資審査の参考指標にしているといわれており、銀行対策をする上でも投資家にとっては重要指標の1つといえます。
また、資金調達コストが順レバなのか、逆レバなのかは、以下のような試算で判断できます。
NOIが450万円、物件購入価格が6000万円、NOI率が7.5%、借入額が5000万円という物件があると仮定して、Aローンが「金利3%、返済期間15年、年間返済額414万3490円」、Bローンが「金利3.5%、返済期間25年、年返済額300万3741円」だったとしましょう。
この場合、どちらのローンが有利な資金調達になるでしょうか。
年間返済額は共にNOIを下回るので、どちらのローンを選んでもキャッシュフロー はマイナスになりません。
このため、一見すると金利が安いAローンの方が有利に見えます。
しかし、K%を算出するとAローンは「414万3490円÷5000万円=8.3%」、Bローンは「300万3741円÷5000万円=6%」になります。
したがって、K%が低いBローンが有利になります。
さらにAローンの場合はK%(8.3%)がNOI率(7.5%)を下回っているので、8.3%で資金調達をして7.5%で資産運用をすることになるのでキャッシュフロー上の利回りはマイナスで、逆レバになってしまいます。
また、AローンとBローンとでは年間返済額が違うので、Aローンを選ぶとキャッシュフローがBローンより年間約114万円も少なくなります。
これが5年続くとキャッシュフローは600万円近い開きが生まれます。
これだけキャッシュフローがあれば、これを原資に新しい物件に投資もできます。
万が一の場合の蓄えにもなるでしょう。
次の新しい物件投資の原資を稼ぐ意味でもキャッシュフローは金利より重要です。
そして、K%を把握することは融資条件の有利、不利の客観的判断ができることにもつながるのです。