中野は駅の半径約500m圏内に商店街やオフィス街が形成され、その周囲を住宅地が取り巻く形になっています。
周辺には「中野サンモール商店街」「中野北口一番街商店街」「中野ふれあいロード商店街」など中野駅の北口と南口合わせて約20ヵ所の商店街があり、23区有数の商店街集積地でもあります。
「サラリーマンの住宅地」から「サブカルチャーの街」へ変わった中野が、今度は多彩な文化を発信する「マルチカルチャーの街」へ変わろうとしています。 そのきっかけが中野四丁目の警察大学校跡地の再開発で2012年に街開きした「中野四季の都市」と言われています。
この街区は約16.8haの敷地にレストラン・カフェ、診療所、調剤薬局などを低層部に収容した複合オフィスビル2棟(地下2階・地上10階建てと地下1階・地上22階建て)、総戸数17戸・地上5階建ての高級賃貸マンション、防災公園、大学キャンパスビル3棟などを配した「ミニコンパクトシティ」のような地域。
2棟のオフィスビルには栗田工業、日本無線、キリンビールホールディングスなどの本社部門が入居。ビジネスパーソンと学生が行き交うなど、これまでのサブカルチャーの街と異なった中野の新しい雰囲気を醸し出しています。
中野区は現在、この街区開発を皮切りに2031年の再開発事業終了を目標にした「中野駅周辺まちづくり計画」を進めています。
計画では中野二―四丁目の町域約110haを4つの地区に分け、それぞれ次のような整備方針を明らかにしています。
●中野二丁目地区……新たな業務・商業の集積と生活コミュニティの中心となる街
●中野三丁目地区……文化施設が集積し、文化的な賑わいと暮らしが調和する街
●中野四丁目地区(中野四季の都市がある地区)……先端的な都市機能と緑豊かな街
●中野五丁目地区……安心して買い物などを楽しめる商業空間
そして、中野駅の南北に駅前広場を整備し、中野駅前地区を「4つの街と繋げ、街相互の回遊動線を形成する要」と位置付けています。
同計画により中野区は、中野を「最先端の業務拠点、多彩な文化が共存共栄する多文化発信拠点、最高レベルの住環境など、多彩な都市機能が集約した街」となる将来像を描いています。
中野はJR中央線快速で新宿まで約5分、東京まで約18分、東京メトロ東西線に乗れば大手町まで約19分。こうした交通の利便性、商店街が約20ヵ所に食品スーパーが5軒ある買物の利便性、駅前から8分も歩けばそこは閑静な住宅街。「この3拍子揃った立地の良さが不動産投資市場としての中野の魅力。しかも今は不動産投資の穴場になっている」と、不動産業界関係者は異口同音に指摘します。
以前の中野は居住者の約半数が単身世帯で、20代の人口比率が高いのが特徴でした。しかし、中野四季の都市が街開きしてからは、職住近接の住環境を求めるビジネスパーソンや通学の利便性を求める学生の賃貸マンション需要が急速に増加。居住者の人口比率も多様化の方向に向かいつつあると言われています。こうした変化も不動産投資の好材料になっているようです。
そこで気になるのが家賃相場ですが、不動産情報サイト「HOME'S」の調査によれば、賃貸マンションの家賃相場はワンルームマンションが7.3万円、1DKが9.8万円、1LDKが13.8万円、2LDKが17.2万円などとなっており、新宿と比べるといずれも30~45%安くなっています。
立地条件が良くて家賃が安いコストパフォーマンスの良さは、中野の人気の高まりを予測させます。街の将来像も明示されています。ところが「住みたい街ランキング」の順位が低い影響からか不動産投資家の注目度が低く、賃貸マンション取得の競合は少ないと言われています。
こうした市場特性を鑑みると、現在の中野は賃貸マンション投資の穴場と言えるかもしれません。今後はさらなる開発計画によって中野駅周辺の市況は変動する可能性を秘めています。
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