不動産投資家の注目を集めているレポートの1つは、国際的な事業用不動産投資サービスのCBREが2015年12月に発表した「不動産マーケットアウトルック2016」です。同レポートは我が国の不動産投資市場を賃貸オフィス、首都圏物流施設、不動産投資の3分野に分け、2016年のそれぞれの需要予測をしています。
それによると、賃貸オフィス市場は、
――と分析しています。
首都圏物流施設市場は、
――と分析しています。
最後に不動産投資市場は、
――と分析しています。
不動産投資家の注目を集めているもう1つのレポートは、先に紹介した「アベノミクスによる日本不動産市場への影響」(2015年11月30日発表)です。
それによると、
――などと分析しています。
同社が2015年12月に発表した「アベノミクス後の日本不動産市場の検証」の中で、同社は「世界主要都市における投資額を比較すると、東京はニューヨーク、ロンドンに次いで世界3位の136億米ドル。その理由として市場規模、市場の流動性、整備されたREIT市場などが挙げられる。東京への投資額は日本国内では圧倒的に多く、2013年から2015年第三四半期まで、全国投資額の58%を占めている」とも分析、東京の不動産投資市場の有望性を指摘しています。
実際、2014年の人口動態調査からも明らかなように、東京都の人口増加率は47都道府県中トップです。この人口増を背景に、例えばJR東日本は東京五輪開催の2020年に合わせて、山手線田町―品川間に新駅の開業を目指しています。新駅の予定地周辺では都市再開発が計画されており、オフィスビル、商業施設、タワーマンションなどの建設が予定されています。
また、バブル経済期に都心から首都圏各地にキャンパスを移転した大学の都心回帰も進んでいます。少子化が進み、東京23区外で学生を確保するのが困難になっていることが都心回帰を促しているようです。
拓殖大学、明治大学、東京理科大学、立正大学、大妻女子大学などはすでにキャンパスの都心再移転を完了しています。それに伴い2005年からの10年間で約5万人の学生が東京23区内に転入したと言われています。
中央大学も2015年11月に発表した「中央大学中長期事業計画」の中で、2022年に法学部を八王子市の多摩キャンパスから文京区の後楽園キャンパスへ移転する計画を明らかにしています。このため、都内の地場不動産会社からは「学生向けのワンルームマンションが不足している」との声が聞かれるほどです。
このほか、東京都では都市再開発事業も盛んです。
「東京の再開発」と言うと、東京五輪開催向けの施設整備ばかりが話題になりがちです。しかし東京都では人口増に対応するため、不足している道路・公園等の公共施設整備、快適な住環境を備えた都市型住宅の供給、老朽化した業務施設の先進的施設への建て替えなど総合的な街作りを目指した「市街地再開発事業」を東京都全域約219地区(2015年7月31日現在)で進めており、「東京の再開発」は五輪開催後も続く予定です。不動産投資のチャンスは拡大し続けています。
新たに不動産投資をするにしても、資産を組み替えるにしても、不動産投資を拡大するにしても、東京都が今後も有望な投資市場であることに変わりはないようです。