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「空き家820万戸時代」の不動産市場はどうなる

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2015年5月に空き家対策の「空家特措法」が全面施行され、メディアでも空き家問題がクローズアップされています。 不動産業界では空き家は活用次第で住宅の需給バランスを崩す恐れがあるとの声が挙がっています。一方で空き家は、不動産投資の新たなチャンスだと見る向きもあります。空き家問題の深層を探ってみました。

空き家の4割近くは完全無住の放置住宅

総務省統計局の『平成25年住宅・土地統計調査結果』によると、2013年10月1日現在の住宅総戸数は6063万戸。このうち空き家戸数は820万戸で住宅総数に占める割合は13.5%。空き家数、空き家率(住宅総戸数に占める空き家戸数の割合)ともに過去最高となりました。

空き家820万戸の種類別空き家戸数を見ると、「賃貸用の住宅」が429万戸と全体の52.3%を占めて最多。「その他の住宅」(人が長期不在の完全無住住宅)が318万戸で38.8%も占めています。地方都市での賃貸住宅の長期空室増加、農山村部での放置住宅の増加をうかがうことができます。


一方、上記調査結果に基づき国土交通省が、無作為抽出で空き家所有者約1万1000人を対象に実施した『平成26年空家実態調査結果』によると、空き家所有者の今後5年程度内の利用意向は「所有者やその親族が利用する」が22.9%、「所有者やその親族以外が利用する」が1.4%、「賃貸する」が6.1%、「売却する」が8.8%などとなっています。

この回答率を空き家820万戸に単純に反映させると、賃貸・売却合わせて120万戸の中古住宅が不動産市場に新規供給される計算になります。

「空家特措法」が不動産市場に与える影響

国土交通省は2015年5月の「空家特措法(空家等対策の推進に関する特別措置法)」の全面施行と同時にそのガイドラインを定めました。

空家特措法では「破損等が著しく保安上危険となるおそれのある状態」をはじめ4分類の空き家を「特定空家等」と定義し、ガイドラインで行政区自治体の「特定空家等に対する措置」の行政手続きを定めています。


その行政手続きは「立入調査などの事前準備 ➞ 空家所有者への助言・指導 ➞ 空家所有者への勧告 ➞ 空家所有者への命令 ➞ 空家除去の行政代執行(除去費用は空家所有者に請求)」と、段階的に自治体の強制力が強まるようになっています。

そして勧告に際しては「固定資産税等の住宅用地特例から除外されることを告知する」と定めています。これは税優遇措置の適用除外を指しており、相当な効果があるとみられています。

住宅用地に適用される税優遇措置として、固定資産税の課税標準が小規模住宅用地(200平米以下の部分)は最大6分の1、一般住宅用地(200平米を超える部分)は最大3分の1にそれぞれ減額されています。

これが勧告を受けると、固定資産税額がそれぞれ6倍、3倍に跳ね上がるからです。また、都市計画税の課税標準も小規模住宅用地は3分の1に、一般住宅用地は3分の2にそれぞれ減額されていますが、こちらの税額も大幅に跳ね上がる形になります。


国土交通省の狙い通り、空家特措法を背景に空き家対策が順調に進むと、不動産市場にはどのような影響が予測されるでしょうか。

全体的な影響では、塩漬けになっている土地・建物が流動化し、賃貸・売買物件として不動産市場に新規供給されると予測されています。前述の120万戸はあり得ないとしても、不動産業界関係者の中には「60万戸程度は新規供給になる可能性がある」と予測する向きもあります。

塩漬け物件が流動化すると、建物の解体・修繕需要が発生し、それが建設市場への経済波及効果になるとも予測されています。

半面、10万戸規模の賃貸・売買物件が不動産市場に流れると供給過剰となり、物件平均価格の下落要因になるとの予測もあります。そうなると空き家所有者・非所有者双方の不動産資産価値下落要因になる可能性もあるようです。

空き家は活用次第で不動産投資の新たな資源に。

空き家を遊休資産と捉えると、その活用策として一般には賃貸が想定できます。賃貸では次のような経営が想定でき、それぞれリスクがあるといわれています。


●一軒・一室貸し

戸建て住宅の場合は空き家を一軒丸ごと、分譲マンションの場合は空き住戸を賃貸する方法です。この場合は入居率が100%か0%かのどちらかになり、賃料収入も満額かゼロかのどちらかになります。

また賃貸物件にするためには、空き家期間中に傷んだ個所の修繕、設備更新などそれ相応の初期投資も必要になります。そして賃貸に出してすぐ入居者が見つかれば問題はありませんが、入居者が見つかるまでは無収入が続き、その間は管理費の持ち出しも続きます。

特に地方都市の空き家はこれらのリスクが高いといえます。


●シェアハウス

シェアハウスとして複数の入居者に賃貸する方法です。

シェアハウスの場合は一軒または一室を複数人に賃貸できるので、満室の場合は一軒・一室貸しより高い賃料収入を得られる可能性があります。また、1人でも入居していれば管理費を賄う程度の賃料収入を得られるといわれているので、経営的には安定します。

半面、見ず知らずの他人同士が同居するシェアハウスは、入居者同士のトラブルなどで建物が毀損される可能性があります。また、シェアハウスは東京23区内など大都市の都心部でこそ需要はありますが、それ以外のエリアではほとんど需要がないともいわれています。


●事業用賃貸

オフィス、保育施設、医療・通所介護施設、飲食店、コミュニティ施設などとして賃貸する方法です。

入居者は事業者なので、個人よりも家賃延滞・滞納率が低いといわれています。事業施設としての改装は入居者が行うので、賃貸物件化するための修繕も最小限に抑えられる可能性があります。

半面、事業用物件であるからには立地条件が居住用よりシビアになり、活用できる空き家は駅前・駅近などエリアが限定されます。また分譲マンションの場合は、マンション管理規約で居住用に限定されていればこの方法は使えません。


●土地活用

建物を解体して更地にし、それを駐車場や借地として賃貸する方法です。

この方法は地方都市でも需要があるので、都市部なら建物活用より成功の可能性が高そうです。

半面、解体には費用が掛かり、木造住宅でも3万円/坪程度の初期投資を要します。需要の当てが外れた場合は、初期投資した土地を塩漬けにしてしまう可能性もあります。また、建物がある土地は固定資産税が最大6分の1、都市計画税が最大3分の1の軽減される特別措置がありますが、更地にしてしまうと軽減措置が受けられなくなります。


こうした空き家活用策を逐一検討してみると、その可能性は東京23区内を筆頭に近隣都市部に限定されるものといえそうです。

これを逆に見ると、空家特措法の施行で、空き家所有者は空き家対策を真剣に講じなければならなくなっているといえます。そして東京23区内なら賃貸物件に適した空き家も少なくありません。

その意味で「東京や近郊都市部で空き家を見つけて購入すれば、新たな優良収益物件になる可能性が高い」(不動産業界関係者)といわれています。


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