不動産投資における物件管理は「建物管理」と「賃貸管理」の2つの要素から成り立っています。
前者は共用部の日常清掃、共用設備の点検・保守、修繕など建物の老朽化や資産価値劣化を防ぐための物理的なメンテナンスのことです。分譲マンションの管理では主にこの物理的メンテナンスを指しています。
後者は賃貸マンションなど収益物件の入居者募集、家賃集金、滞納家賃督促、入居者クレーム対応など物件運用に関する管理を指します。
こうした管理を管理組合や不動産投資家から業務受託しているのが管理会社になります。ただ、賃貸を中心とした管理会社の場合、建物管理と賃貸管理をセットで受託しているのが通常です。ここをきちんと分けて説明しないと、一般読者には分かりにくいかもしれません。
後者の収益物件の管理会社についてはオーナーの経済的利害が直接絡むためか、様々な不満を持っている不動産の個人投資家が少なくありません。そこで、収益物件の「優良な管理会社の見分け方」が重要となってくるわけですが、こちらも不動産関連情報サイトでは「管理会社の管理戸数ランキングを参考にすればよい」、「現場スタッフの動きを何々の基準でチェックすればよい」など、情報は豊富ですが曖昧な内容ばかりです。
基本的には「デベロッパー系」、「ビルメンテナンス系」、「独立系」の3つに分かれています。
デベロッパー系は三菱地所、三井不動産、野村不動産など「メジャーセブン」と呼ばれる分譲マンション販売大手の系列会社です。ビルメンテナンス系は日本管財をはじめとするビルメンテナンス大手の系列会社が大半です。
独立系は大手不動産会社やゼネコンとの系列関係がない「マンション管理専業」という意味で使われているのですが、初めからマンション管理を目的に創業した純専業は僅かで、大半が不動産仲介会社、建築設計事務所、工務店、ビルメンテナンス会社などのグループ会社です。事業者数では独立系が過半数を占めると見られています。
そしてデベロッパー系は親会社が開発した賃貸マンションなどの管理を親会社から受託、ビルメンテナンス系は親会社の取引先から管理を受託という縁故チャネルを持っています。
一方、独立系はそうした縁故チャネルがないので、既契約管理会社の管理内容や管理委託費の高さに不満を持ったオーナーが管理会社をリプレース(管理会社の変更)する時に「管理費の安さと提案力で勝負」といった形の営業をしているようです。
オーナーが期待する管理と管理会社が提供する管理にギャップがあり、そこからオーナーの不満が噴出するのはどこの業界でも見られる光景です。ただ、不動産業界は長らく供給者優位の業界だったからか、サービス面の需要と供給のギャップを埋める努力が他業界より少し足りないような気がします。
これは不動産ビジネスの分業専門化が進んでいる米国発祥の不動産投資管理手法の1つです。
「不動産投資における所有と経営の分離」がプロパティマネジメントの基本思想で、簡単に言うと「不動産収益を最大化し、その資産価値を最大限に高めて運用する」管理手法です。
これに似たものとして「アセットマネジメント」がありますが、こちらは投資用不動産の取得、運用管理、売却など資産全体の管理手法を指します。また、アセットマネジメントは投資家の代理人としてプロパティマネジメントの選択などを行い、投資家に対して収益の最大化を図る役割も担っています。
サービス品質に差はあれ、入居者募集、家賃集金など業務内容自体に大差はありません。
ただ、プロパティマネジメントは従来の管理のような「不動産運用受託業務」ではなく、「オーナーの不動産運用代理業務」です。
そこで当社はプロパティマネジメントとして収益を最大効率化するために、オーナー様への利益相反行為がうまれるようなリスクを組織的な仕組みから完全排除しています。
露骨な利益相反行為は見られませんが、それに類似した行為は散見されます。
収益物件の管理会社は系列に賃貸の仲介会社がある、仲介会社と業務提携しているなど何らかの形で賃貸仲介と連携しています。仲介と連携しないと入居者募集、空室埋めなどが円滑にできないからです。また、管理の社員は月給制ですが賃貸仲介の社員は大半が固定給+歩合制です。
その結果、管理の社員はオーナー側と賃貸仲介の板挟みにあって立場が揺れ動くケースが発生します。
例えば空室が出ると、その穴埋めを依頼された仲介の社員は一日でも早く歩合を稼ぐため属性の悪い入居者でも入れてしまう。
つまり当該社員に悪意がなくても、面談して相手の話を聞いているうちに「属性が少々気になるが空室を埋める必要があるし、すぐ契約すると言っているし、だったら今回は入居審査を甘くして入れてしまおう」、あるいは「すぐ契約すると言っている。だったら管理と交渉して家賃を下げてもらおう」と、感情論や同情論で動いてしまう傾向があります。
すると、結果的にオーナーが家賃滞納や家賃減収のリスクを負ってしまうわけです。それが分かっても管理は今後のことがあるので仲介に注意ぐらいはするかもしれませんが、抗議や契約解除まではしないのが通例です。
そうしたしがらみに起因したような利益相反行為が、プロパティマネジメント業務を取り入れている管理会社でも稀に発生するのです。
そんなことはありません。オーナー側に立脚したビジネスモデルを確立すれば容易にできます。
ただ、管理会社が単独で本来の意味でのプロパティマネジメント業務を行うのは難しいかも知れません。なぜなら、この業務は先にお話ししたように受託業務ではなくオーナーの不動産運用代理業務だからです。
プロパティマネジメントにおいては不動産を1つの会社としてとらえ、その収益の最大化やコスト削減など、経営者の目線と豊富な不動産運用ノウハウを駆使して業務遂行をしなければなりません。ところが管理会社にこの高度なノウハウはありません。
他社さんの場合、ポートフォリオ作りを行っている「アセットマネジメントチーム」がオーナーからの相談を受けた投資物件を探し出して購入すると、それを系列や提携先の管理会社に管理を丸投げします。
それを受けた管理会社は賃貸料収入の5%前後の業務受託料で通常の物件管理を行い、家賃明細書をはじめとする管理会社所定の業務報告書を作成し、不動産投資サービス会社に提出します。不動産投資サービス会社はこの業務報告書を基にリーシング(入居者募集、空室対策等)、コンストラクション(修繕計画作成、コスト管理等)などでプロパティマネジメントを行っているのです。
これが他社さんの一般的なビジネスモデルです。つまり、アセットマネジメントとプロパティマネジメントを水平分業で行っている訳です。
対して当社はアセットマネジメント、プロパティマネジメント、システムマネジメント(税務・財務、建築等)を三位一体の一気通貫体制で行うビジネスモデルを確立しているのが特徴です。また収益物件の管理も管理会社への丸投げではなく、当社が社内で管理を行っています。
端的に申し上げると、プロパティマネジメントの過程で「不動産運用中間分析」と呼ぶ中間分析を行っているのが当社の特徴であり、運用期間中のコンサルティングを提供しているのがサービスの強みともなっています。
例えば、1億円で売却できる収益物件を運用しているオーナーが7000万円のローン残債を抱えているとします。すると当社では、このオーナーは3000万円(1億円-7000万円)で1億円の物件に投資しているとの考え方をします。
そして、この3000万円の投資に対して自己資金配当率(年間のキャッシュフロー割合)がいくらなのか計算して投資効率を見ます。
投資効率は物件購入当初と比べ5年後、7年後と経年に伴いどんどん低下します。補修費、減価償却費低下などの関係で運営費が増加し、実家賃収入が減少するからです。
同時に経年で残債が減ることにより自己資金額が増加します。すると自己資金額増加と実家賃収入減少のギャップが拡大します。これが投資効率低下の正体です。この投資効率が仮に7%だったとします。
ここで当社は「それならこの物件を1億円で売却し、手元に残った3000万円を原資に投資効率15%の新物件に乗り換え投資ができないものだろうか」と中間分析をするのです。
中間分析をすれば、例えば「15年後に1000万円稼ぎたい」がオーナーの目標なら、これを10年に、あるいは5年に短縮できるのか否かが明らかになります。これにより当社の使命である「収益の最大化」を実現できる訳です。
おっしゃる通りです。
当社のビジネスモデルは、入り口の資産設計からゴール設定までがアセットマネジメントプロセスで、以降の不動産運用代理業務がプロパティマネジメントプロセスになります。換言すると、アセットマネジメントでいくらリスク分散のポートフォリオ分析などをしても収益の最大化は実現できないのです。
物件運用は生き物です。時々刻々と状況が変化しています。この変化の渦中でポートフォリオ分析、投資効果シミュレーションなどの中間分析をしないと収益の最大化が実現できないのです。これが不動産投資においてプロパティマネジメントが必要不可欠とされる理由でもあります。
当社の中間分析は、当初に設定した投資目標に基づく運用計画の進捗度を定期的に検証するのが目的です。
そこで、中間分析で当初設定した投資目標の達成が怪しくなってきたと判断した時点で、例えば「3年前に購入していただいた物件の投資効率が、現在○%低くなっております。仮に現在の物件を売却した資金でこの物件に投資すれば投資効率がこのように改善します」と、オーナー様にコンサルティングとして提案します。
この仕組みがあるから当社のオーナー様は投資目標を達成していくことができるのです。また、市場環境の変化にも柔軟に対応できます。