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築vs.中古物件 初めての投資で、どっちを購入するべきなのか?

賃貸マンション投資は「新築か中古か」の勘違い

細田 明功 Hosoda Akiyoshi

初めて賃貸マンション投資をする投資家が、最初に悩むのが「新築マンションにするか中古マンションにするか」の選択だといわれています。

一般的には「新築マンションは建物や設備が新しく、高い家賃設定ができるので高収入が見込める反面、物件購入価格が高いので表面利回りが低い。中古マンションは高い家賃設定ができないので高収入が見込めない反面、物件購入価格が低いので表面利回りが高い」といわれています。

それぞれのメリットとデメリットが交錯して甲乙つけがたく、どちらにしようかと判断に迷うようです。そこで株式会社アクティスコーポレーションの公認不動産コンサルティングマスターである細田マネージャーに、最初の投資でどのような物件を購入すべきか話を聞きました。

――専門家の立場から見ると、新築と中古のマンションはどっちを選べばよいのでしょうか?

細田

その選択自体がよくある勘違いだといえます。

物件選びの候補抽出段階では、表面利回りの多寡は1つの目安にはなりますが、それが新築か中古かの二者択一で適切な候補抽出はできないのです。なぜなら、新築がよいのか中古がよいのかの選択肢は物件タイプの選択であるからです。

物件タイプは新築か中古かのほかにワンルームマンション、ファミリーマンション、一般マンション、高級マンション、都心マンション、郊外マンション、中低層マンション、タワーマンションなど多岐にわたります。

賃貸マンションの投資において重要なのは、こうしたタイプの選定ではなく、投資物件をいかに使いこなすか。言いかえれば「投資した物件から、いかにして高収益を上げるか」なのです。

高収益を上げるためには物件の築年数、グレード、住戸の広さや設備、立地、交通の利便性などさまざまな要素が絡んできます。これらの要素を盛り込んでシミュレーションしなければ、物件選びの候補抽出はできません。これが物件選びを二者択一的に決められない理由であり、奥深いところでもあります。

―――つまり、新築か中古かで悩んでいる投資家は、「優良物件が欲しい。高利回りの優良物件を購入すれば投資は成功したのも同然」みたいな感じで、物件そのものが目的になっているということでしょうか?

細田

特に投資初心者の方々にはその傾向が強いように思われます。目的と手段を間違えているといえるでしょう。

賃貸マンションに投資する目的はあくまで「投資額に対してどれだけのリターン(収益)を安定的に得るか」であって、利回りの多寡ではありません。利回りは目的達成の手段にしか過ぎないのです。だから、目的を達成できるなら物件は何でも構わないですし、利回りが低くても構わないのです。

アパートローンで経営基盤を固め、プロパーローンで規模を拡大

――では仮に、投資目的に適した物件を見つけた場合、次に重要なことは何でしょうか?

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細田

やはり資金調達でしょうね。

新築物件にしても中古物件にしても、一棟投資にはそれ相応の資金が必要ですから、個人投資家の方々は銀行ローンを組むのが通常です。そして、銀行ローンを組む段階では銀行が、その投資家様の事業支援者の一人になります。ところが銀行にはそれぞれ得意な物件と苦手な物件があるのです。

例えばある銀行ではワンルームマンションが得意だがファミリーマンションは苦手というように、銀行が苦手な物件を選んで銀行ローンを申し込むと融資を断られ、投資ができないケースも発生します。

つまり、銀行が得意な投資物件を選ぶことも物件選びのポイントになってくるわけです。


また賃貸マンションなど銀行の不動産投資向け融資には、いわゆる「アパートローン」(不動産投資ローン)と「プロパーローン」(事業ローン)があります。前者は不動産投資に特化したパッケージ型の事業融資で、融資対象は会社員。金利は何%など融資条件が明確な反面、融資額が銀行によって2億~5億円と限定されています。後者は一般的な事業融資なので融資条件は案件個別対応となる反面、融資限度額はありません。

――賃貸マンションの投資に当たっては、どのように使い分ければよいのでしょうか?

細田

そもそもアパートローンは不動産投資の初心者向けに開発したローンです。だから1棟目や2棟目の資金調達に適しているかと思います。融資条件が明確ですので、それをクリアできる投資家様なら比較的スムーズに融資されるのがメリットといえます。しかし、3棟目の投資となると融資限度額を超えてしまうので、2棟以上の投資拡大をする際はプロパーロ-ンに切り替える必要があります。

簡単にいえば1棟・2棟目はアパートローン、3棟目以上はプロパーローンという使い分けですね。


――しかし一方で、同じ銀行でもアパートローンはすぐ融資OKになるのに、プロパーローンは融資審査が厳しくローンを組むのが難しいといわれています。なぜでしょうか?

細田

それは事業融資だからです。

アパートローンの場合は、融資条件が明確なことからも分かるように、物件の担保性とローン返済能力など投資家様の投資能力さえ確認できれば、銀行は基本的に融資限度内で融資してくれます。

一方、プロパーローンの場合は、投資家様の投資能力に対する融資ではなく賃貸業という事業に対する融資になるので、銀行の審査はその事業の健全性評価が主眼になるのです。

簡単にいうと、PL(損益計算書)で、その事業のキャッシュフローを審査し、BS(貸借対照表)で賃貸マンション事業の経営状況を審査するわけです。そして、PLとBSが両方とも良好なら銀行は正常な融資先と判断するのです。したがって、PLとBSのどちらかが不健全なら融資OKにならないケースもありえます。


賃貸マンションの長期経営と経営規模拡大を計画している個人投資家の場合、まず1棟、2棟目はアパートローンで資金調達し、これらの物件で賃貸マンション経営のノウハウを蓄積し、健全なPLとBSを作り上げた上で、プロパーロ-ンを利用して経営規模の拡大を図るのがセオリーといえるでしょう。


賃貸マンションの長期経営を望んでおられる投資家様の場合は、それが副業的なものであれ、「賃貸業経営者」としての資質や経営感覚が必要になってくると思います。なぜなら銀行は投資能力ではなく事業継続能力や経営能力を見るからです。したがって、賃貸マンションの経営では入居者募集、建物管理、空室対策などを管理会社に丸投げするのではなく、管理会社からの報告書をこまめにチェックするなど管理会社との連携を密にする、定期的に現場巡回をする、自ら入居者様の声を聴いて回るなどの経営努力が重要になると思います。

「投資するなら東急沿線や城南・城西地区」と言われる理由

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――近年、賃貸マンションの投資エリアとして東急沿線や城南・城西地区が注目されています。なぜでしょうか?

細田

基本的なことから申し上げますと、賃貸マンション投資のリターンは需給バランスで決まります。常に需要が供給を上回っているエリアは投資成功の可能性が高いわけです。

日本国内でこれに該当するエリアの筆頭はどこかというと、それは首都圏になります。

日本のGDP(国内総生産)は世界3位ですが、GRP(域内総生産)は世界1位です。例えば、米国のシンクタンク「ブルッキングス研究所」が2012年11月に発表した「世界主要都市圏のGRP順位」によると、東京都市圏が1位、ニューヨーク都市圏が2位、ロサンゼルス都市圏が3位、ソウル—仁川都市圏が4位、ロンドン都市圏が5位などとなっています。


――経済活動が盛んな地域には、おのずとヒト、モノ、カネ、情報が集中します。これらが集まれば住居とオフィスが必要になり、賃貸マンションの需要も増加の一途をたどるということですね。

細田

このマクロ的な賃貸マンション市場の中で、投資エリアとして東急沿線や城南・城西地区の注目度が高まっているのは、都市再開発が盛んで年を経るごとに交通や生活の利便性が高まっているからです。

加えて、これらのエリアには恵比寿、代官山、自由が丘、田園調布など各種の「住みたい街ランキング」で常に上位にランクされる街が並んでいます。また、これらのエリアは空室リスクも比較的低いという特徴もあります。

こうしたさまざまな要因が絡み合って、既存の投資家様はもとより、「これから賃貸マンション経営を」と考えている投資家様の注目度も高まっているのではないでしょうか。

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