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動産投資の出口戦略が「失敗」する理由

個人投資家の6割が出口戦略もなく不動産投資をしている

―― 単刀直入にお伺いします。不動産投資においては出口戦略がなぜ重要なのでしょうか。


舟山

出口戦略がないと、不動産投資でどれだけの収益を得られるのかが、そもそも計れないからです。

「高利回りの物件を取得して、毎月安定したキャッシュフローを得ているから」との理由で、不動産投資に成功したという投資家様の話をよく耳にします。

でも「今は安定したキャッシュフローを得ているから」と安心していても、そのキャッシュフローが来年も再来年も保証されているわけではないのが、不動産投資の世界です。

また、キャッシュフローで得られる収益だけではなく、売却時に融資残債を返済して利益が出せるのかを入口で考えなくてはなりません。いざ売却しようとした際に、売却代金では融資残債を返済しきれず持ち出しになってしまうのでは、投資全体としての収益性が低い投資という事になってしまいます。


―― 出口戦略がないと利回りが悪化した時に損切りもできず、不良化した物件を持ち続ける羽目に陥るわけですね。

舟山

おっしゃる通りです。

ネガティブな問題だけでなく、物件買い替えによる投資拡大というポジティブな問題にも対応ができません。


―― 御社の場合は「不動産投資の駆け込み寺」のようなところがありますね。すなわち、不動産投資サービスの同業他社から「この物件は高利回りだからお買い得ですよ」と勧められた物件を購入したところ、最初は期待通りのキャッシュフローが得られていたものの、何年か経つと急にキャッシュフローが減少してしまう。それでどこかで御社の噂を聞いて相談に来る、といった投資家が多いようですが。


舟山

確かにそんなクライアント様は多いですね。

他社さんも別に悪気があって「お買い得ですよ」と勧めたわけではないのです。その時は高利回り物件だったからこそ勧めているのです。

購入物件運用中のキャッシュフロー減少には様々な要因が絡んでくるので、これについては話を割愛させていただきますが、早い話が弊社に駆け込んでこられたクライアント様の大半は、出口戦略を考えずに物件購入をしたことがそもそもの原因だと考えられます。

実はクライアント様のお話を詳しく伺うと、出口戦略自体をご存じない方が全体の6割にも及ぶというのが実情です。

それで「出口戦略とはなんぞや」からご説明すると、これらの方々の大半が「えっ、そんなものがあるのですか」とおっしゃるのです。

玉石混交の不動産投資情報が氾濫する「サラリーマン大家300万人時代」

―― 現在は「サラリーマン大家300万人時代」といわれるほど不動産投資がポピュラーな投資商品になっているのに、出口戦略を知らない投資家がそんなに多いのですか。


舟山

実は私も驚きました。

個別でのコンサルティングでクライアント様に弊社以外の案内状況をお聞きすると、入口については言うまでもないようなことまで詳しく説明しますが、出口についてはあまり詳しく説明してくれる他社さんがどうやら少ないようなのです。

付け加えると、不動産投資セミナーなどで聞いた話を誤解し、誤った知識で不動産投資をしているクライアント様が3割程度。入口から出口までを通して、不動産投資の何たるかを的確に理解していらっしゃるクライアント様が1割程度、といったところです。


―― 現在はネットなどで玉石混交の不動産投資情報が氾濫している時代ですから、その比率には頷けます。特に投資初心者の場合は、高利回りの優良物件取得にばかり関心がいっているようで、仮に説明されても右から左へというような人が多いようですね。困ってみて初めて出口戦略に耳を傾けるような人が。


舟山
それもあるかも知れませんね。


―― 初心者の場合は「物件運用でキャッシュフローを得るのが不動産投資」だと、はなから思い込んでいる人が多いようですから、「高利回り物件なら優良物件」と勘違いし、不動産投資サービス会社に勧められたものは何でも買ってしまう傾向があります。


舟山

おっしゃる通りです。そんな状況ですので、弊社ではクライアント様に現実的で正しい投資をしていただくために、「なぜ出口戦略なのか」を詳しくご説明し、それをご理解いただいた上で投資のご提案をさせていただいています。


―― 本題に入るまで時間と労力がかかりますね。


舟山

それも弊社の役割だと考えています。

出口戦略の失敗要因は現状把握の欠落

―― 出口戦略のタイミングを検討する時期は、一般に次の2つといわれています。
1つ目は譲渡税の税率の変わり目。不動産所有期間5年以内の短期譲渡の税率は39%ですが、所有期間5年以上の長期譲渡の税率は20%です。だから売却は6年目以降が税率面で有利だというものです。
2つ目は物件の残存耐用年数。銀行は不動産投資の融資期間を残存耐用年数(法定耐用年数-築年数)内で定めるのが普通だといわれています。したがって、例えば築20年の鉄筋コンクリート造の中古賃貸マンションの場合なら「47年-20年」で、最長27年のローンが組めます。
仮にこの築20年の物件を購入して10年間運用すると、築年数が30年となり、この時点での残存耐用年数は17年になります。この時点で同物件を売却しようとすれば、その買い手は17年のローンしか組めないことになります。
これではローン返済の負担が重くて、同物件の買い手は稀になってしまう。したがってこの場合は、最低でも20年のローンが組めるよう、購入から7年以内には売却すべきだというものです。
これが一般論ですが、実際の出口戦略のタイミングはどうなのでしょうか。

舟山

タイミングの考え方としてはその通りだと思いますが、現場の実例からは次の2つに大別できます。

1つ目は土地値まで下がった築古物件を売却するケース。

土地値まで下がった築古物件は、土地値で購入しているため土地相場が大きく変動していない限り購入価格に近い価格で売却できる可能性が高いので、その売却益を原資に次の優良物件に再投資する事を目的とした出口戦略がとれます。

2つ目は築10年未満の築浅物件を売却するケース。

こちらは、一般論にある残存耐用年数に着目した出口戦略になります。


―― では出口戦略に失敗するのはどのようなケースなのでしょうか。


舟山

一番多いのは先ほどお話した、出口をまったく考えないで投資をしているケースです。

もともと入口を作る時点で出口作りを考慮していないのですから、出口が必要になって泥縄的に策を講じても失敗するのは当然だといえます。物件を買うのは簡単ですが、どのような優良物件でも売却となると、「売り」の貼紙を付けておけばそれでOK、というような簡単なものではないのです。

次に多いのが、市場での物件の立ち位置を把握しないで運用しているケースです。

例えば運用中の物件の市場価値が下がり始めれば、その時点で直ちに売却して損切りをしなければならないのです。しかし市場での物件の立ち位置を把握していなければ、物件の市場価値が下がり始めても気が付かないわけですから、そのまま所有し続けて売却のタイミングを失ってしまうのです。


―― すると損切りもできず、不良化した物件を持ち続ける羽目に陥るわけですね。


舟山

おっしゃる通りです。

「他社で物件を購入したが3年目辺りから赤字になり、以降赤字が止まらない。何とかならないか」と、弊社に相談に来られるクライアント様の大半がこのケースに該当しています。


―― いずれにしても、自分が行っている不動産投資の現状把握をしていないということでは共通していますね。
では、そうした出口戦略に失敗したクライアントに対して、御社ではどのようなサポートをされているのですか。


舟山

弊社の場合、クライアント様に投資の現状把握をしていただくため、まずはクライアント様現有物件の入口から出口までの投資全体の現状分析を行い、入口、運用、出口のプロセスごとの収支を数値でお示しします。


―― なるほど。そうすれば初心者でも投資の全体像を具体的に把握できますね。


舟山

そうなのです。

そうして現状把握ができれば問題点の発見が容易になります。問題点を発見すれば課題も自ずと浮き上がってきます。課題が見えれば、後は投資シミュレーションによって出血を止めるための適正な出口戦略が立てられます。

いずれにしても、運用物件の収支悪化は入口で立てた投資計画に狂いがあったことを意味しています。弊社ではその狂いを正し、投資を成功軌道に戻すために、われわれが「中間分析」と呼ぶ独自の投資分析手法を持っています。

投資をされていて少しでも「おかしいな」と感じられたら、いつでも遠慮なく弊社にご相談いただければと思っています。


―― 本日も有益なお話をありがとうございました。


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