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GLOSSARY
不動産用語集
わ行
英数
与信

辞書的な意味での「与信」とは「信用を供与すること」です。
不動産賃貸や金銭の貸与、代金の後払い(売掛金)による商品の販売などは、「後で必ず返済してくれる(支払ってくれるだろう)」と相手を信用する(信用を供与する)ことを前提に契約が結ばれます。契約を結ぶにあたって、一定の枠内で相手に信用を供与することが与信です。

融資における与信

さて、マンション投資を始めるにあたって、手元資金の不足分を金融機関からの融資で調達しようとお考えの方も多いでしょう。この場合、金融機関は借主の収入や負債、資産の状況を調べ、信用度を評価します。これが「信用調査」です。信用調査の結果、金融機関は「この人には○○万円までなら貸してもいい」という与信枠を決定します。

信用調査にはさまざまなものがありますが、マンション投資に対する不動産投資向けローンの場合は、本人の信用力に加えて、ローンの借主本人が購入する不動産の担保価値も調査します。不動産投資向けローンでは対象不動産を担保にするのが通例です。そこで、金融機関は、対象不動産であるマンションの賃料収支計算を行い、空室率や金利上昇収益などのリスクを加味した上で担保価値を評価します。

また、借主が会社員であれば、「長期的に安定した給与を得られるかどうか」を知るために勤務先の財務状況や本人の勤務状況も調べられるかもしれません。さらに、マンション購入の事業計画の信頼性についても調査されるでしょう。最終的な融資決定までには、こうした多岐にわたる審査をすべて通過しなくてはなりません。

なお、マンション投資においては、最初の1棟だけでなく、2棟、3棟と増やしていくことを視野に入れる投資家の方も多いと思われます。このようなケースでは、金融機関からさらなる融資を受けなくてはならないことがあります。

同様のケースで「与信の毀損(きそん)=与信力の低下」が生じると、十分な額の融資が受けられない可能性があります。例えば「自宅用に住宅ローンを組むと、住宅ローンは負債とみられ与信を毀損してしまうため、次の融資がきびしくなる」といったケースです。

どういう場合に与信の毀損が生じるかは金融機関によって判断が異なります。しかし、長期的展望によって、融資を活用しながら投資を続けていこうとお考えの方は、主として取引きする金融機関の信用維持を念頭に、「与信の毀損」が生じない投資計画を立てることが必要不可欠でしょう。

入居者に対する与信

融資を受ける際はおもに与信を審査される側でしたが、物件を購入して実際に運用するようになると、今度は審査する側に回ります。

入居者のなかにはいわゆるトラブルメーカーがいるのも事実で、家賃を支払わなかったり、騒音などによって近隣住民と揉めたり、退去時に修繕費を踏み倒したり、さまざまな問題を起こします。このような入居後のトラブルを減らすためにも、オーナーは「入居者審査」を通して、入居者として適した人物であるかどうかを見極めるわけです。

入居者審査には決まった項目はありません。オーナーによって重視している点は異なりますが、特にチェックされている要素としては以下の2点があります。

・支払い能力
不動産投資では、入居者から支払われる家賃がおもな収入源です。たとえ部屋が埋まっていたとしても、家賃が支払われなければ収入はそのぶん減ってしまいます。
入居者の支払い能力をチェックする場合、まずはその人の収入を調べてみましょう。一般的に、年収の3割を超えると家計を圧迫するといわれているので、これを上回る場合は滞納されるリスクが高くなります。
また就業形態も重要です。年収が十分だったとしても、契約社員やアルバイト、フリーランスなど、収入が不安定な場合は支払いが途絶えてしまう可能性もあります。

・人間性
入居者の人間性は非常に重要なポイントです。不衛生な人や、ガラの悪い人、挙動不審な人が住人である場合、「あのマンションには住みたくない」と思う人が増えるため、結果として空室率が高くなってしまいます。人は見た目ではありませんが、見た目で判断する人は存在します。物件の価値を下げないためにも、入居希望をお断りするオーナーは少なくありません。

入居者の与信管理は重要とはいえ、条件をきびしくしすぎると空室率が高くなってしまいます。それでも妥協したくないという場合は、「家賃保証会社」を利用するのも一つの手です。借主が家賃を滞納した際、その企業が代わりに支払ってくれるというサービスで、家賃に関するリスクを減らすことができます。

「成人年齢引き下げ」に伴う、与信健全化の議論

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内閣府の消費者委員会は、2017年1月、成人年齢(行為能力付与年齢)を満20歳から満18歳へ引き下げたときに、18歳から22歳を「若年成人」と位置付けて、判断能力の未発達に付け込んで業者から不必要な契約を締結させられた際に行使できる「取消権」を、民法や消費者法などに定めるよう意見しています。
民法5条は、未成年者が法定代理人(親権者など)の同意を得ずにした契約などの法律行為を、あとで取り消せると定めています。こうすることで判断能力不足に付け込まれる「子供だまし」の契約から未成年者を保護しているのですが、成人年齢の引き下げは取消権を早めに失うことになり、消費者保護の要素が薄れるのです。
特に、消費者金融やクレジットカード、銀行カードローンなどで、経済力の乏しい「若年成人」らに高額な買い物を認める「過剰与信」の横行が心配されています。このような過剰与信は、別の借金をして借金を返済する悪循環を生むほか、若いうちから債務整理や自己破産などの不利益を被るおそれがあります。そうなると、与信におけるブラックリストにより5年から10年間にわたって借金ができなくなるため、生活再建がうまくいかないと、再び経済的・精神的に追い詰められてしまう可能性があるのです。

融資を実行する金融機関は、一定の「貸し倒れ債権の発生」をリスクとして折り込んでいるものです。そして、その損失を補填する意味も込めて、利息制限法に定められた上限金利ギリギリの高利で金銭を貸し出しています(特に悪質な業者は、若者に対して収入の虚偽申告を促して高額の与信を設定、過剰に貸し付ける例もあります)。消費者委員会は、このような融資を行う貸金業者やクレジットカード会社に対し、改めて与信の健全化を徹底するよう求めているのです。

具体的には、若者に対する金銭貸付けは、貸付けの利用限度額を設定するよう周知し、借入れ目的や勤務実態について電話での口頭確認を実施するなど、返済能力の調査確認を適切に行うよう要請しています。また、クレジットカード会社に対しても同様に、適切な極度額の設定と、仕事先や収入源、年収などの確認を、いっそう丁寧に行うよう要請しています。

今後、18歳から22歳を若年成人とする消費者契約法改正がなされた場合、中でも特に若い18・19歳に対する審査を慎重に行う必要があるでしょう。
消費者委員会では、取消権の制定のほか、そもそも若年成人がその判断能力不足に付け込まれることを未然に防ぐための、消費者教育の充実・相談体制の強化・事業者による自主的支援なども同時に求めています。

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