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GLOSSARY
不動産用語集
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担保物権

tanpobukken01.jpg「担保物権」とは、債務不履行があった場合に、債権者がその債権を回収する拠り所とするために定められる権利のことです。 担保物権には、条件を満たせば法律上発生する「法定担保物権」と、債権者と債務者のあいだで契約を交わすことで設定される「約定担保物権」があります。


法定担保物権は留置権と先取特権の2種類が存在

法定担保物権には「留置権」と「先取特権」があります。

留置権(民法295条~)とは、例えばビニール傘など、他人の物を自分の物と取り違えて持って帰った人がいるとして、その人の傘が手元にある場合、「あなたが私の傘を返還しないあいだは、私もあなたの傘を返さない」と主張できる権利のことです。

先取特権(民法303条~)とは、債務者に財産が十分になく、自分以外にも債権者がたくさんいて、全額を返済することが困難な場合、本来であれば「債権者平等の原則」によって、全体に占める債権額の割合に応じて、足りないながらも財産の一部を分け与えてもらえるところ、例外的に優先して返済してもらえる権利のことです。会社に対する従業員の直近6ヵ月分の「給与請求権」や、不動産賃借人に対する賃貸人の「家賃請求権」などに先取特権が認められています。


約定担保物権は質権と抵当権の2種類が存在

約定担保物権には「質権」と「抵当権」があります。

質権(民法342条~「しちけん」と読む)とは、平たく言えば「借金のカタ」を保有する権利です。債権の担保として、債務者らの所有する価値のある物品を預かり、返済できないときには預かっている物品を売却するとのプレッシャーをかけることによって、債権者は優先的に返済してもらおうとします。要するに、質屋の業務で行われていることと同様です(実際の質屋は、民法ではなく質屋営業法の規制を受けています)。なお、時計や車などの動産をはじめ、不動産にも質権を設定することができます。

抵当権(民法369条~)も、債権者が借金のカタを設定する権利で、返済できないときは売却して優先返済を得ようとする点は、質権と同じです。ただし、動産には抵当権を設定することができず、不動産にのみ設定できます(法律上は、地上権や永小作権にも抵当権を設定できることになっていますが、実際の運用例は皆無です)。

また、抵当権を設定すれば、債権者は借金のカタを手元に置かず、債務者に持たせたままにしておくことができますので、債務者の生活が大きく変わらないという特徴があります。例えば、債務者が工場を経営していて、銀行が融資するという場合、不動産質権を設定して債権者へ工場の所有権を移転されても、銀行は工場経営のノウハウがありませんから困ってしまいます。むしろ、工場をそのまま債務者が経営し続けたほうが、債権回収への望みが得られます。つまり、質権よりも抵当権のほうが、債権者にとって使い勝手が良いというわけです。実社会における約定担保物権は、抵当権が広く普及しています。


登記による公示

抵当権を設定した場合、法務局での登記記録によって公示すると、債務者以外の第三者に向けて、広く抵当権の存在を公示できます。その後、同じ債務者に対して融資を実施、抵当権を設定した債権者がいたとしても、その抵当権は「第2順位」として、先に抵当権を設定した債権者が優先権を主張できます。 ひとつの物品に一人の債権者のみが設定する質権と違い、抵当権には複数の債権者が設定できる特徴もあるのです。


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