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貸主とは

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不動産 「貸主(貸し手)」とは、不動産を他者に貸して、賃料を得て収益を上げる人(もしくは法人)のことです。中でも、土地の貸主を「地主」、建物の貸主を「家主」や「大家」ともいいます。不動産の貸主は、ほとんどの場合、その不動産の所有者(オーナー)の立場でもありますが、例外もあります(詳しくは後述)。

民法では、物を他人に貸す場面として「使用貸借」「賃貸借」「消費貸借」の3種を定めています。貸主が賃料を取らずに無償で他人に貸せば不動産使用貸借、貸主が賃料を徴収して貸せば不動産賃貸借です。なお、不動産の消費貸借(同種、同等、同量の物を返還する)は、理論上ありえません。

不動産物件の取引態様としての「貸主」とは

投資を行う土地や建物を購入しようと考え、不動産会社に問い合わせたとき、それぞれの物件には「取引態様」の表示があります。

その大半は「仲介」か「媒介(専任媒介/一般媒介)」です。これらは、その物件の貸主から不動産会社に対し、買い手を探すよう依頼されている物件です。条件交渉をする場合は、不動産会社から貸主へ問い合わせて確認しなければならず、手間がかかります。

一方で「貸主」と書かれている物件は、不動産会社がその物件の所有者であり貸主です。つまり、不動産会社自身が最終決定権を持っているので、条件交渉などがしやすくなります。

不動産の所有権がない貸主

不動産のオーナーではないが貸主である場合は、以下の2パターンが考えられます。

・代理人
不動産の所有者からの正式な依頼を受けて、代わりに賃貸借契約の立場をとり行う立場です。この場合は代理人が貸主になります。

その不動産の借主は、家賃を代理人に支払います。これは、所有者に支払ったことと同じ扱いになりますので、有効な支払いです。また、借主が家賃減額や修繕などの交渉を行う場合は、代理人を相手に要求することになります。

所有者が契約を結ぶことによって貸主の立場が託されている「任意代理人」が一般的ですが、不動産の所有者が未成年者や認知症患者などで、単独では有効な法律行為ができない場合、代わりに親権者や後見人が貸主の立場を務める「法定代理人」を立てる場合もあります。

・転貸人
不動産を借りている人が、さらに別の人にその不動産を貸すことです。転貸は、不動産の借主が所有者(貸主)の許可を得ていなければ有効になりません。

転貸借が有効に行われた場合、借主は「転貸人」としての立場を得て、実際に不動産を利用している人は「転借人」となります。つまり借主は、転借人に対して「不動産の所有者ではない貸主」となるのです。

例えばサブリースは、物件の所有者と借主のあいだに不動産管理会社が入って転貸人としての立場を得ることで、所有者に代わって貸主としての煩雑な業務をすべて引き受けるサービスです。また、コンビニエンスストアなどのフランチャイズでは、物件の所有者と店主とのあいだに、フランチャイズ本部が入って転貸人の立場を得るのが一般的です。

もし、貸主(所有者)の知らないうちに、借主が無断転貸を行った場合、貸主と借主とのあいだで、長期継続的契約の基礎となる信頼関係が破壊されたとして、貸主はその賃貸借契約を解除することができます(民法612条)。

民法大改正(2020年施行見込み)と「貸主」の関係

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改正民法では貸主の地位や権利が大きく変わり、保護される範囲が広がった一方で、負うべき義務も強化されています。




貸主の地位や権利の変更点

特に、目的物を無償で借主に使わせる使用貸借契約では、借主が一方的に利益を享受しないよう、当事者の関係性のバランスをとるため、貸主の地位がより保護されています。
例えば、貸主が安易に使用貸借契約を結び、後悔しないように593条の2が新設されました。この条文では、目的物の引渡し前であれば、貸主は契約解除できることになっています。ただし、書面によって締結された使用貸借契約については、もはや安易な契約締結とはいえないとみなされるため、引渡し前でも貸主は契約解除できません。

また、目的物を毀損させた借主に対して、貸主が持つ損害賠償請求権は、目的物の返還を受けて1年で時効となるとされていましたが、改正民法では時効による権利主張制限がなくなっています(600条2項)。

一方で、賃貸借契約の貸主は、義務が若干強化された部分もあります。例えば、目的物が一部使えなくなったときの、賃料減額を定める民法611条です。従来は借主から貸主への請求を行わなければ、貸主は減額に応じる必要はありませんでした。しかし、改正民法では、借主が目的物の一部を使えなくなった事実さえあれば、貸主は賃料減額に応じなければなりません。

貸主の地位や権利に関する確立された判例の明文化

過去の判例を基に、貸主の権利が確立されたものもあります。例えば、賃貸借契約における物件のオーナーチェンジが行われた際の「賃貸人たる地位の移転」です。賃貸借の対象となっている不動産の所有権が移ったとき、借主が以下の対抗要件を備えていると、借主や貸主の合意がなくても自動的に貸主の地位が新しい所有者に移転します。この際、旧所有者と新所有者のあいだで「貸主の地位をそのままとする合意」があっても、移転することがポイントです。

・土地の場合
借主に建物の所有権登記がある。

・建物の場合
借主が居住している事実(物件の引渡し)がある。

旧所有者が借主に対して負っている敷金返還債務や、目的物のメンテナンス費用(必要費・有益費)の負担義務も、自動的に新所有者に引き継がれます。また、新所有者が物件の所有権移転登記を完了していなければ、借主に対して家賃請求などを行うことはできません。これらは、実務上も確立した判例(大審院1921年5月30日判決・最高裁1999年3月25日判決)をベースに明文化された規定です。

また、改正民法605条の3では、借主の合意なしに、旧所有者と新所有者との契約で、貸主の地位移転を行うことができると定めています。これは、契約上の地位の移転を三面契約で行う原則を定めた、改正民法539条の2の例外規定といえるでしょう。

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