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GLOSSARY
不動産用語集
わ行
英数
キャップレート(Cap Rate、還元利回り、収益還元率)

calculator with the word estate

「キャップレート」は「Capitalization Rate」を略した言葉です。投資対象の不動産の資産価値を評価する指標のひとつで、「資本収益率」「還元利回り 」「収益還元率」「NOI利回り」とも呼ばれています。 このキャップレート(=還元利回り)は、国土交通省によって「直接還元法の収益価格及びDCF法の復帰価格の算定において、一期間の純収益から対象不動産の価格を直接求める際に使用される率」であり、「将来の収益に影響を与える要因の変動予測と予測に伴う不確実性を含む」ものと定義されています。また、同省による還元利回りの算定ですが、かなり専門的な言葉が混じる4つの方法によって導き出されます。


(1)類似の不動産の取引事例との比較で求める
まず初めに、対象となる不動産と類似した不動産の取引事例から求められる利回りを出します。その値に取引時点及び取引事情、並びに地域要因と個別的要因の違いに応じた補正を行うことで求めます。

(2)借入金と自己資金 の還元利回りから求める
対象の不動産を取得した際に資金調達した、借入金及び自己資金の各還元利回りを、調達した資金の構成割合により加重平均して求める方法です。

(3)土地と建物の還元利回りから求める
対象の不動産が建物と敷地であるとき、その物理的な構成要素の各還元利回りを、それぞれの価格の構成割合により加重平均して求める方法です。

(4)割引率との関係から求める
割引率をもとに、対象となる不動産の純収益の変動率を考慮して求めます。


なお、還元利回りと割引率は「比較可能なほかの資産の収益性」「金融市場における運用利回り」と密接な関係があり、その動向に留意する必要があると明記されています。さらに、対象の不動産には「地方別」「用途的地域別」「品等別」などによって異なる傾向があり、地域要因と個別的要因の分析を踏まえて適切に求めることが必要であるとされています。


エリアや用途によって異なるキャップレート

キャップレートは「年間純収益を投資金額で割った値」ということになります。つまり、対象の不動産の収益力を示す指数であり、これを見ることで投資金額の回収に何年必要かが一目でわかります。例えば、キャップレートが5%の不動産であれば、20年で投資金額を回収できることがわかります。これが4%に下がると、回収には25年必要になりますが、逆に10%に上がれば10年というように、キャップレートが高くなるほど回収期間は短くなります。


なお、同じエリアであっても、不動産のタイプ次第でキャップレートは変わります。比較的需要が安定し、さまざまな運用が可能なオフィスビルは低くなりますが、住宅や物流施設、商業店舗はやや上がり、それ以外の建物はさらに高くなる傾向が見られます。また、キャップレートの低い不動産は評価額が高く、キャップレートの高い不動産が比較的安価に設定されているのは、これらのリスクが考慮されているためです。


キャップレートを基に不動産の適正価格を割り出す

不動産の価値を求める際、キャップレートは非常に役立ちます。これは、償却前営業利益(NOI)をキャップレートで割ると、対象となる不動産の適正な価格がわかるからです。
ここではAとBという2つの収益物件 を例にして、不動産の適正価格を示します。なお、両者の立地や面積、形状や築年数などは同等のものとしますが、Aはオフィスビルとして稼働中、Bは小売店や飲食店が入居し、ともに満室でNOIは2,000万円という条件で計算を行いました。


物件A(オフィスビル)/キャップレートは5%
2,000万円÷0.05=4億円


物件B(テナントビル)/キャップレートは7%
2,000万円÷0.07=約2億8,600万円


この場合、物件Aは4億円までで購入可能であれば適正な価格といえますが、物件Bが仮に3億円で売り出されていた場合、1,400万円ほどのギャップが生じていることになります。ほぼ同条件の建物でありながら、ここまでの価格差が生まれる理由は「入居者のリスクに差がある」ためです。一般にオフィスビルを借りる事業者は家賃の支払いが遅れることは少なく、入居期間も長期にわたる場合がほとんどです。一方、小売店や飲食店は家賃の支払い能力に変動が生じやすく、契約期間内の退去や倒産のケースも考えられます。そのリスクが3%のキャップレートの差、不動産価格にして1億円以上の差となって表れているのです。


不動産の真の価値を知る収益還元法

キャップレートを利用する「収益還元法」(家賃収入から管理運営費を引いたものをキャップレートで割る)により、正しい不動産価値(価格ではありません)を求めることも可能です。例えば「家賃70,000円・稼働率100%・税金40,000円・管理委託費6%・月額修繕費10,000円」のワンルームマンションの場合、「年間家賃収入84万円-(税金40,000円+管理委託費50,400円+修繕費12万円)」の計算で求められた62万9,600円を、キャップレートで割ると価値が出せます。


キャップレート8%(ワンルームマンションの需要が低い地域の参考値)
62万9,600円÷0.08=787万円


キャップレート5%(23区など単身者による需要が旺盛な地域の参考値)
62万9,600円÷0.05=1,259万2,000円


家賃70,000円のワンルームマンションという条件はいっしょながら、キャップレートによって不動産価値に大きな差が生じることがわかります。しかし、キャップレートは経済状況や不動産の周辺環境に連動して変動する指数であることも忘れてはいけません。不動産投資を行う際、「販売価格」や「不動産価値」の参考にすることはできますが、「キャップレートそのものが適正」であるかは、対象の不動産を取り巻く状況やアドバイザーの意見を聞きながら、最終的には自身が判断を下す必要があるのです。


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